Prologue

土地の風景は
いくつもの要素が混ざり
積み重なってできている。

地形や自然環境、
歴史や文化、
万物とのつながり…
ひとつひとつが少しずつ影響し合い
「いま」を形づくってゆく。

それはまるで
幾つもの水の流れが集まり、なじみ、
大きな川を成していくように、
ゆるやかに一つの姿になってゆく。

うきはには、
この地だからこそつむがれ続ける
いとなみの姿がある。

そっと覗きこむように、触れてほしい。

いとなみうきは。

Historyうきはのものがたり

そのむかし、阿蘇山が幾度か噴火し火山灰がこの地に降った。
数万年に一度の大きな地震を何度か繰り返し、少しずつ高くなって生まれた耳納連山。山では大小の川がいくつも流れるようになる。
阿蘇山から脈々とつづく筑後川は、大雨のたびに流れを変え、他の小さな川とともに平野の土地を何度も飲みこむ。
そのうちいくつもの扇状地が築かれ肥えた土壌に育っていき、長い年月をかけてうきはの地形はつくられた。

人々はまず山の麓や山間で暮らしはじめる。
細々とした湧水や雨水を溜めたり堰き止めたりしながら水を得て、起伏に富んだ山の地形を活かす方法を編み出し、少しずつ山を切り拓いて棚田や集落を築き米などの作物を育てた。

平野を流れる川のほとりに人々が暮らしはじめると、山と平野、川上と川下の生き方がまじりあうことで、双方の玄関口となり、新たな人のながれが生まれた。
山を越える前にひと休みしたり、川の流れの速さに合わせて船を変えたり、山と川のそれぞれで採れたものを平野で売ったりと、次第に交易・交通の要衝となっていった。

地の利をめぐる争いも幾度となく起こった。

けれど、山のように満足に水を活かすことはできず平野の土地の暮らしはなかなか良くはならなかった。川は度々荒れ狂う。争いが落ち着き江戸時代に入った頃、大きな水害と大変な不作に襲われた人々は、ついに筑後川の水をどうにか生活に活かそうと決心する。
全長約一五〇キロメートルに及ぶ水路や石積みの堰、岩盤を掘ったトンネル状の水路などを作ったりと、いくつもの難工事を成し遂げていった。

水路を張りめぐらせたことで、たくさんの作物を育てられるようになり、水を動力とした作物の加工も発達していく。
製粉や麺、お茶や酒や砂糖などの食品、生活に必要な油や蝋や木材まで、多くの場面で水車が利用された。
良質で豊富な地下水によって上質な商品が多く生産されるにつれ、富を蓄えるものも増え、集積地では草わら葺きの建物から白壁の頑丈で華やかな建物に移り変わっていった。

人々はいつの時代も、そのとき置かれた環境をうまく活かし、どう生きるかを実践してきた。
そしていまも、うきはのものがたりはつむがれている。(文/竹熊若葉)

Interview

山の集落に暮らす

Profile

内ヶ原(うちがはる)-樋口健次さん 美恵子さん

1998年に棚田をつなぐ活動団体「田伝夢司(でんでんむし)」を有志とともに立ち上げる。コロナ流行以前は年間80人以上を受け入れ、里山の暮らしを伝えてきた。現在、活動は集落全体での取り組みに派生。手塩にかけて育てた作物は、市内産直市場に卸している。

植物は天に向かう

Profile

栗木野(くりぎの)-プールストラ愛さん

うきは市吉井町で生まれる。生後間もなく同市浮羽町新川栗木野に転居。幼少期から絵を描くこと・ピアノを弾くことが生活の一部としてある。2022年に画文集「四季のきせき」を出版。

〒839-1413 福岡県うきは市浮羽町新川2403-30943-77-7693 (エルウィン・プールストラ ピアノ教室)

ダムと果樹園

Profile

合所(ごうしょ)-石橋教男さん 由紀子さん

標高300mほどの山の中で梨とりんごを栽培。有機肥料・減農薬で育て、樹上完熟させ収穫することで、果樹本来のうまみを出し、安心安全でおいしい果物づくりを目指す。お買い求めは、直売所もしくは市内産直市場にて。

〒839-1412 福岡県うきは市浮羽町小塩5444-1 (直売所)0943-77-3313

家と在来茶に生きる

Profile

山北(やまきた)-河北幸高さん

江戸時代末期からお茶づくりを開始。樹齢100年を超える在来種の茶樹を農薬不使用にて栽培。在来茶を活かしたスイーツやパン、サウナのアロマ水など、多方面でコラボが進む。お買い求めは、市内産直市場または通信販売にて。

〒839-1408 福岡県うきは市浮羽町山北20560943-77-4019

うきはで豆腐を作ること

Profile

溝口(みぞくち)-重岡証次さん

各種豆腐のほか、こんにゃくやところてんなど20品を手掛ける。人気商品の一つであるおからかりんとうは奥さんの恵美さんお手製。大豆の優しい甘みを厳選フレーバーで楽しめる。 各種商品のお買い求めは、市内産直市場にて。

〒839-1305 福岡県うきは市吉井町福永362-10943-75-2661

時代に沿う麺の在り方

Profile

古川(ふるかわ)-小林稔男さん 雅子(もとこ)さん

明治39年創業。店舗は水〜日曜日の11:00〜15:00まで営業(麺が無くなり次第営業終了)。茶色い木製看板が目印。メニューの一部は、袋麺の商品として購入することもできる。お買い求めは、店舗もしくは市内産直市場にて。

〒839-1405 福岡県うきは市浮羽町古川9620943-77-2249

リバーワイルド

Profile

中之島(なかのしま)-杉勝也さん

養豚からハムやベーコンなど加工食品の製造・販売、カフェ営業まで行う。店舗は水〜日曜日の11:00〜17:00まで営業。 豚を育てる工夫の一つとして、減農薬の桃や葡萄、柿などを飼料に使用。お買い求めは、店舗または市内産直市場にて。

〒839-1307 福岡県うきは市吉井町橘田5680943-75-5150

静けさに満ちた山に雨が降り注ぎ木々や山肌を濡らし岩を伝ったその一つの微々たる流れが小さな川となる小さな川は山をくだりやがて大きな川となり海へと注ぐ
人のいとなみは水と共に

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